ここでは、作者が実際に乗船した商船、その他の現代の商船の模型を紹介します。

① 貨客船

蘇州號(そしゅうごう)

大阪と上海を結ぶ航路に就航しているRoRo船。中国船なのでレストランで本格的な中華料理を青島ビールとともに楽しめます。中国国際輪渡有限公司所有、総トン数14,410トン、車両搭載数130TEU、全長154.7メートル。平成4年就航。

本船の外観上の特色は大きく背の高い煙突です。しかも細かくスリットが入っていて、作るのが大変でした。

あぜりあ丸(あぜりあまる)

東海汽船の子会社である神新汽船の所有する小型船で昭和63年に竣工しました。総トン数480トン。毎日、伊豆半島先端の下田港から、伊豆諸島の神津島、式根島、新島、利島を回って島民のための日用品などを運んでいる生活航路船です。

黒潮を横切るので結構揺れますが、船橋わきの椅子に座って海風にあたるのは最高でした。小さな船ですが、模型を作るとき、トムソン式デリックを作るのが難しかったです。惜しいことに平成26年12月に新造船「フェリーあぜりあ」にバトンタッチし、今はガダルカナルで活躍しているそうです。

フェリーあぜりあ(ふぇりーあぜりあ)

老朽化した「あぜりあ丸」のあとを継いで、伊豆諸島航路に就いた船で、従来どうりコンテナを運べるほか、自動車も乗せられるカーフェリーでもある点がユニークです。総トン数485トン、全長63.6メートル。バウスラスタ、フィンスタピライザー装備で、操船性、快適性が向上しています。

この模型船は実物の「フェリーあぜりあ」の案内所の棚に乗せられて、毎日本船とともに航海しています。

あおがしま丸(あおがしままる)

八丈島から青ヶ島へ生活物資を運ぶ定期船で、平成26年に就航しました。総トン数460トン、全長62メートル。こんなに小さな船なのにバウスラスタ、フィンスタピライザー装備で、航海速力17ノットの高速船です。

すとれちあ丸(すとれちあまる)

東海汽船の東京ー三宅島ー八丈島航路に就航していた船です。前後2か所にトムソン式デリックを装備していたのが特徴的な船容です。昭和53年4月竣工、総トン数3,700トン、全長111メートル。

ゆり丸(ゆりまる)

伊豆諸島開発の貨客船。下田発伊豆諸島航路の「フェリーあぜりあ」、八丈島ー青ヶ島航路の「あおがしま丸」、父島ー母島航路の「ははじま丸」がドック入りの代船として就航しているほか、それ以外の期間は通常、竹芝ー八丈島間等の貨物輸送の任務に就いている縁の下の力持ちです。総トン数469トン、全長62mです。平成10年2月竣工。

橘丸(たちばなまる)

東海汽船の八丈島航路船です。平成26年7月に竣工したばかりの新造船です。しかし実物の本船の塗色は、故柳原良平画伯のアイデアですが、個人的にはどうも受け入れできません。なのでこれも現在就航している「さるびあ丸」と同じ塗色にしました。いかがでしょうか。総トン数5,700トン、全長118メートル、航海速力19ノット。

② カーフェリー

さんふらわあとさ

ブルーハイウエイライン所属で東京ー那智勝浦ー高知航路に就航していました。フェリーといえば、「さんふらわあ」ですよね。船に詳しくない人でも、さんふらわあだけは知っていました。しかしその有名さに便乗しようと、どれもこれも皆、船名にさんふらわあを付けた時代もありました。愚かしいネーミングです。

総トン数12,759トン、車両搭載数乗用車81台、トラック84台、全長185メートル。

 

おーしゃんいーすと

オーシャン東九フェリー所属、東京ー徳島ー北九州航路、総トン数11,523トン、車両搭載数乗用車118台、トラック167台、全長166メートル。

 バブル時代、東京フェリーターミナルには、釧路航路、苫小牧航路、那智勝浦・高知航路と、本船の徳島・北九州航路の4つがあり、豪華さを競いあいましたが、赤字のため次々と廃止され、結局本船の航路しか生き残っていません。その要因は、あくまで貨物主体、旅客設備は必要最小限度(レストランすらない船も)という方針を貫いたことによると思います。船好きにはまったく人気がありませんが、私は好きです。オーシャン東九フェリーの模型を作ったのは私だけだと思います。なお、他の長距離フェリーに比べて全長が短いのは徳島港で離岸、旋回するときの川幅の制約があるため。

平成28年、新造の「フェリー眉山」竣工に伴い引退しました。

サブリナ(さぶりな)

近海郵船の東京ー釧路航路に平成2年に就航しました。建築家、彫刻家などの船とは縁のない専門家の斬新なデザインを採用しました。好みは分かれるでしょうが私は好きでした。

本船のレストランはカフェテリア方式ではなく、テーブルにスチュワードが注文を聞きにくる本格的なもので客船の雰囲気を持っていました。

しかしこのような経費のかかるものは案の定、維持できず、9年後の平成11年に航路ごと廃止となってしまいました。いい船だったのに残念です。総トン数12,521トン、全長186.5メートル。

平成5年に釧路でラムサール条約会議が開催されましたが、それを受けて、サブリナの舷側に大きな絵が描かれました。実物では両舷に描かれましたが、模型では左舷だけです。テーマは湖沼とそのまわりの植物や動物で、ユニークな形に描かれています。実物は横41メートル縦9メートルの巨大なものです。模型ではカラフルな絵を再現するため赤や緑や青の紙を切り抜いて貼り付ける方法で作りました。

オアシス(おあしす)

マリンエキスプレスの川崎ー木更津航路に平成2年に就航した双胴船のフェリーです。総トン数697トン、全長45メートルと小さくてかわいい形をしています。

私が生まれて初めて船に乗ったのは、おそらくこの航路の船です。当時は日本カー・フェリーの航路でした。木更津方面への海水浴か潮干狩りに行くために車で乗船したと思います。

東京湾アクアラインの完成で平成11年航路廃止となってしまいました。

いしかり

平成23年に竣工し、太平洋フェリーの名古屋、仙台、苫小牧航路に就航しました。総トン数15,762トン、全長199.9メートル。車両搭載数乗用車100台、トラック184台。

フェリーの外観上の欠点であるサイドランプの切り欠きがないので、船体の長大さ、きれいさが際立ちます。全体のバランスを見ると、煙突がもう少し前方に位置していれば、さらに美しい外観になったと思います。


こんぴらⅡ

神戸と高松を結ぶ加藤汽船のカーフェリーで、地元では「ジャンボフェリー」の愛称で親しまれています。写真のように非常に変わった形をしていて、船室部分が前半分しかなく、後ろ半分は露天のカーデッキになっています。おまけに煙突が航空母艦のように左舷側に寄せられていて、これは是非模型にしなければ、と思いました。デザイナーはいい仕事をしています。バランスがなさそうでいてそうではなく、微妙な比率で出来ています。そこでこの船に乗って写真を沢山撮影し、世界の艦船で要目を調べ図面を引いて作りました。 のちに改装され、後ろのマストが船尾に移動してしまい、バランスが悪くなってしまいました。総トン数3,664トン、全長116メートル、車両搭載数乗用車36台、トラック56台。平成2年竣工。姉妹船「りつりんⅡ」。

れいんぼう べる

九州の博多と新潟の直江津を結ぶ、日本海側の新航路用に三菱下関で建造された大型カーフェリーです。竣工は平成8年3月28日。新規に設立された九越フェリー株式会社が所有、運行しました。本船はフランスの著名な客船デザイナーであるジョエル・ブリティッシェ(Joel Bretecher)氏のデザインを採用した優雅な気品溢れる外観を有しています。

総トン数13,597トン、全長195.95メートル、車両搭載数:トラッ154台、乗用車77台。

 なお、本船の実物には、船体の中央部にイルカの絵が描かれていますが、他の部分と似合わず、せっかくの外観を台無しにしているため、模型では付けていません。

 作者は友人とともに4月10日に直江津からの処女航海に乗船しました。JR直江津駅からタクシーでフェリー乗り場へ向かいましたが、運転手が場所を知らず、他のタクシーの運転手に無線で尋ねたりして、到着にかなりの時間がかかりました。どうもこのあたりからイヤなムードがありました。着いてみると本船は立派な船で外観も内装もきれいでうれしかったのですが、処女航海というのにお客はパラパラしかいません。しかも何のイベントもありません。他のフェリー会社の場合、処女航海であれば鏡割りとか、記念品の配布とかのイベントがあるでしょう。期待していた作者のほうが悪い、と思い直して乗船しました。船内の公室などは充実していました。中でも展望大浴場は脱衣所も含めて広く、お気に入りでした。しかし本船のオリジナルグッズは何もなく、ただ乗船記念スタンプが唯一のオリジナルでした。

就航後の業績は不振で、平成13年係船、平成16年3月マリンエキスプレスに売船され「フェリーひむか」と改名し、阪南ー宮崎航路に就航しましたが平成18年航路廃止となり11月ギリシャへ売船、アリアドネ(Ariadne)となりました。現在は船体後部にデッキを増設し地中海で働いていると思います。

ちなみに、平成18年に公開された映画「海猿 LIMIT of LOVE」に登場する大型フェリー「くろーばー」号は係船中のフェリーひむかです。映画の中では沈没してしまうので縁起がよくありませんが、少しでも稼ごうとしたのでしょう。

シルバープリンセス(しるばーぷりんせす)

川崎近海汽船所属、八戸ー苫小牧航路に平成24年に就航した新造船です。総トン数10,536トン、全長150m、幅25mでL/B比6:1のグラマー娘ですが、航海速力20.5ノットを出します。車両搭載数トラック57台、乗用車30台。白い船体にサーモンピンクとグレーのラインが映えます。また赤い煙突が綺麗です。

大函丸(だいかんまる)

青森県大間町が所有し、津軽海峡フェリーが運航しているカーフェリーです。大間と函館を一日2往復しています(通常期)。総トン数1,985トン、全長91メートル。車両搭載数トラック21台、乗用車3台で、バリアフリー仕様の新造船です。

フェリーおおさかⅡ

名門大洋フェリーの大阪南港―新門司航路に就いているフェリーです。平成27年9月竣工の新造船です。総トン数14,920トン、全長183メートル、車両搭載数乗用車105台、トラック146台です。乗用車搭載スペースは客室と同じ甲板にあり、乗下船の便を図っています。

ブルードルフィン

津軽海峡フェリーの青森ー函館航路のカーフェリー。総トン数8,820トン、全長143.58メートル、車両搭載数:トラック70台、乗用車30台、2016年竣工。災害時多目的船として、バリアフリー仕様、ストレッチャー搭載可能エレベーター、救護室完備の船で右舷前部に、通常は使用しないサイドランプを設け、専用施設のない港でも接岸可能となっています。

フェリーかつらぎ

南海フェリーの和歌山ー徳島航路のカーフェリーです。総トン数2,604トン、全長108メートル、幅17.5メートル、車両搭載数トラック39台。横揺れ防止装置として一般的なフィンスタピライザーではなくアンチローリングタンクを備えています。また外観上の特徴は右舷に寄せた煙突です。

③ 客船

ふじ丸(ふじまる)

商船三井客船所属、平成元年就航。この年は本船の就航によりクルーズ元年と呼ばれることもあります。総トン数23,340トン、全長167メートル。不思議なデザインの船と思いませんか。赤い煙突両脇の構図は富士山をイメージしていると言われますが、船なのに、なんで富士山なのでしょうか。また、客室の窓から見ると邪魔だ、というクレームからななめの線はなくなってしまいました。 取ってしまうのなら初めから作らなければいいのに。

船内は、研修船としても使えるようにと、いろいろな公室があって広々としていてよいです。プールも高いところにあって気持ちいいです。

平成15年日本チャータークルーズに売却、その後係船、平成25年海外に売却されMIRA1と改名されましたが、その後どうなるのか流動的です。

にっぽん丸(にっぽんまる)3代

商船三井客船所属、平成2年就航。ふじ丸と異なり、一般客のクルーズ専用船として作られました。船体はふじ丸と同じですが、外観は全く違います。総トン数21,903トン、全長167メートル。

ふじ丸ほどではありませんが、本船も外観のバランスが今一つ、という感じがします。前部に比べて後部が重く感じられます。客船はやはり美しくなければなりません。

船内は、公室があちらこちらに分散していて分かりにくいです。特に後部のメインラウンジ(ドルフィンホール)は大階段から客室区画を通っていかなければならず、アプローチに問題があります。

最近リニューアルされ前後の外観上のバランスはよくなったようですが、なぜ四角い窓と丸い窓が混在しているのか、と新たな問題もあります。

にっぽん丸(手前)とふじ丸(うしろ)
にっぽん丸(手前)とふじ丸(うしろ)

にっぽん丸(にっぽんまる)2代

本船は元ブラジル客船Rosa de Fonseca(昭和37年竣工)を商船三井客船が購入しクルーズ船としたものです。総トン数9,773トン、全長150メートル。ローシルエットでバランスのとれた姿で美しい。中央の大きな煙突はダミーで本物は後部のマスト両脇にあります。甲板もチーク材でできていて、これが船だ、と感激したのを思い出します。

私がクルーズに乗船を始めた頃は外航客船といえば新さくら丸と本船しかなく、船内行事も今に比べれば大したものはありませんでしたが、とても、とても楽しかったです。我が青春の一部です。 にっぽん丸(3代)の就航に伴い平成2年に海外売船されました。最近解体されたようです。

はまゆり

岩手県釜石市所有の観光船「はまゆり」は、東日本大震災による津波のため民家の屋根に乗った形で取り残されました。津波の記憶を風化させないため、保存することも検討されましたが結局解体されました。作者の所属する商船模型同好会では、この大災害の記憶を風化させないため、有志が「はまゆり」の模型を製作し釜石市に寄贈しました。市では市の施設に展示する予定です。作者も200分の1の縮尺で模型を製作しました。総トン数109トン、全長28メートル。模型では14センチの大きさです。

 

④ 貨物船

ふたば

井本商運が運航する内航コンテナ船です。2014年12月に竣工した新造船です。総トン数749トン、全長93.9メートル。主機はディーゼルエレクトリック(ディーゼル発電機で電気を作りモーターでスクリューを回す)で、船尾部分に機関室をコンパクトにまとめ、前の船橋部分との間にコンテナを積む珍しい姿に興味が湧き作りました。