ここでは、作者の大好きな淺間丸(あさままる)の模型を紹介します。

日本郵船サンフランシスコ航路に就航していた淺間丸は、貨客船でありながら優美なバランスのとれた船容で、当時の優秀船の代表格でした。今見ても、最近の浮かぶマンションのような味気のない客船と違い、気品に満ちた印象を受けます。わずか1万7千トン弱の船ですが、華麗な船橋前面、傾斜したマスト、2本煙突で3万トンくらいに見えます。また、本船は斜め後ろから見たシルエットがとても美しいです。作ってみて、あらためて惚れなおしました。

 

昭和17年、日米外交官交換船となった淺間丸。船体や煙突、マストなどは灰色に、ハウス部分は白のままですが、いかにも戦時中といった感じで気持ちが暗くなります。煙突の二引マークも灰色に塗りつぶされてしまいました。船体や煙突には白十字を描いて交換船であることを遠くからでもわかるようにしていました。また夜間は白十字マークに電飾が輝いていました。

 

淺間丸の主な経歴
年月日 事項
昭和2年9月10日        

三菱重工長崎造船所にて起工。船価は11,274,000円

昭和3年10月30日        長崎造船所第3船台から進水 
昭和4年9月15日 竣工。船名符号はJFXC
昭和12年9月2日         香港で台風により座礁
昭和13年9月15日         修理完了、航路に復帰
昭和15年1月21日                   千葉県野島岬沖公海上で英巡洋艦Liverpoolの臨検を受ける。いわゆる浅間丸事件。
昭和17年6月17日         日米交換船として横浜を出港
昭和17年8月20日          帰着
昭和19年11月1日 バシー海峡において米潜水艦Atuleの雷撃により沈没
出典:世界の艦船1999年3月号記事