新門司への旅

7月1日から開設された東京九州フェリーの横須賀ー新門司航路の新造船「はまゆう」、「それいゆ」に乗船してきました。はまゆうは横須賀市の花、それいゆは北九州市の花ひまわりのフランス語です。

今回は作者の所属する商船模型同好会の友人5人とともに、7月1日横須賀発「はまゆう」処女航海に乗船、2日夜新門司着後、門司港のホテルに1泊、翌3日は門司下関付近の船に関係のある場所を訪れ、3日夜発の「それいゆ」に乗船、4日夜横須賀着という行程です。

(上左)7月1日夜、京急横須賀中央駅。梅雨前線停滞のための土砂降りの中、東京九州フェリー横須賀フェリーターミナルまでタクシーを走らせました。天気がよければ徒歩でも行けますが荷物もあったのでタクシーにしました。ところがタクシーの運転手さん、横須賀フェリーターミナルがわからない。作者が案内する形で走りました。駅の案内地図にも載っていなくて、せっかくの新航路開設なのに不親切。横須賀市はまったく薄情です。後述しますが九州側の大歓迎の対応とは正反対でした。

(上右)東京九州フェリー横須賀フェリーターミナル。作者は試しに2階の軽食コーナーで夕食を摂りました。チャーハン650円。10分以上待ちましたが冷凍食品でした。これならば駅前の日高屋で食べたほうがよかったです。まあ、初日なので大目に見ましたが、このコーナーは長くはないなと思いました(東京有明のフェリーターミナルにも喫茶店がありましたがすぐ閉店しました。茨城県大洗のフェリーターミナル2階の食堂も閉店しました。フェリー利用者は食事は事前に済ませていて、あまり利用しないものです)。

(下左)処女航海に臨む「はまゆう」 船体のカモメのマークは新日本海フェリーと同じですが「Cruising Resort」の文字。新日本海フェリーは「Shin Nihonkai」と会社名ですが「Tokyo Kyusyu」ではないのですね。

(下中・右)23時45分定刻に出港。処女航海限定企画の紙テープが舞う中、タグボートはありませんので船首尾のスラスターにより自力で離岸。岸壁では大雨の中、関係者のお見送りがありました。処女航海ということで予約状況では満席でしたが、天候を見たのか直前のキャンセルがあったようで、空きベッドがありました。

(左)出港後浦賀水道を出ると相模湾は波高4メートルの時化。黒潮に逆らって西行するため2日の午前中まで大きなピッチングで船酔い者が続出しました。本船は全長が222.5メートルもありますがハウスが船首側に寄っているため、うねりに船首が突っ込むと、次には大きく上に船首があがり、また落下、とジェットコースターのような縦揺れはかなりのものです。宇宙飛行士が体験するような無重力状態を楽しめます。

(中)午後になると天候は回復、それでもうねりはありました。

(右)2日21時、定刻通り新門司フェリーターミナルに到着し、夜は門司港駅そばのホテルに宿泊しました。

(左)3日は曇り空でときたま雨が降りました。ホテルから徒歩で関門海峡へ。午前中は東向きの潮流最大5ノット。写真のコンテナ船は潮流に逆らって西へ進路をとっていましたがなかなか進めなくて、対地速度はかなり遅いです。

(右)関門海峡に面した和布刈神社(めかり神社)。創建は仲哀天皇9年(西暦200年)と言われる九州最北端の神社。平家が滅亡した壇ノ浦のそばです。

和布刈神社の裏手にある関門人道トンネルを歩いて下関(山口県)側に渡りました。作者は何度も関門海峡の見学に訪れていますが、いつも船に乗ってしまうので徒歩で横断したのは初めてです。

下関の唐戸市場2階の食堂で海鮮丼(1300円)の昼食。ほかにもふくの唐揚げ(650円)もいただきました。この唐戸市場はなかなか活気がありました。観光客もOKで、お寿司を1貫単位で売っており食べ歩きもできるようです。

午後は関門汽船の「りうぐう」で唐戸から巌流島(がんりゅうじま)へ渡りました。佐々木小次郎と宮本武蔵の決闘で有名な島ですが、作者たちはそれには興味なくて、対岸の三菱重工下関造船所の様子を見るために渡りました。

巌流島から見た三菱重工の下関造船所の艤装岸壁です。大型のカーフェリーが2隻いました。左は名門大洋フェリーの新造船「フェリーきょうと」で5月13日に進水し艤装工事中。右は阪九フェリーの新門司ー神戸航路の「やまと」で新造船ではありません。実は「やまと」は機関不具合のため緊急ドックに入っていて、7月2日から9日まで同船が担っていた便は欠航ということです。普通は考えられないトラブルです。

とにかく、ここは造船所の見学にはうってつけの場所で、船の好きな作者としては天気が良ければお弁当でも持って一日いたいです。

巌流島から再び下関に渡り、今度は関門汽船の「ふくまる」で門司港へ戻ってきました。

夕方になったので門司港地区をあとにして小倉へJR九州の電車で移動しました。

(左)門司港駅。レトロな感じが美しいです。

(右)小倉城天守閣。明治時代の西南戦争で炎上しましたが復元されています。夜はライトアップされ美しいです。どこか姫路城にたたずまいが似ています。
小倉で夕食を摂り(これがとんでもない店でしたが、ここでは触れません)、新門司フェリーターミナル行きの無料バスに乗り、夜フェリーターミナルに戻ってきました。3日の歩数計は19,000歩余りを差していました。よく歩きました。

小倉駅には東京九州フェリー連絡バスの案内表示もよく整備されており、迷わずに行けました。また2日の到着時の話ですが、呼んだタクシーも迷わず新ターミナルに来て横須賀とは大違いでした。

そして23時55分出航の「それいゆ」に乗船しました。本船は昨月竣工したばかり、まだペンキの臭いのするピカピカの新造船で気持ちがいいです。

帰りは海も平穏で揺れもほとんどなく快適な船旅でした。海を眺めながら露天風呂で一時間くらい友人と話をしたり、就航記念クロスワードパズルを解いて賞品を貰ったりしてのんびり過ごしました。あと、洋上で味わうビールがおいしく最高でした!!

4日午前10時過ぎ、姉妹船の「はまゆう」と熊野灘あたりですれ違いました。

「それいゆ」から見た航海速力28ノットで反航する「はまゆう」。反航時は合成速力が2倍になるため時速約100キロでのすれ違い (友人のHK氏撮影)
「それいゆ」から見た航海速力28ノットで反航する「はまゆう」。反航時は合成速力が2倍になるため時速約100キロでのすれ違い (友人のHK氏撮影)

「はまゆう」と「それいゆ」の外観はそっくりで船首の船名表示がないと区別がつきません(でも、どうも垂直船首というのは...)。

両船の内装には写真のように違いがあります。写真左の「はまゆう」は茶色を基調としてシックな印象、右の「それいゆ」は明るい色調でモダンな感じです。

船内レストランですが、東京九州フェリーは、新日本海フェリー、阪九フェリーと同じくバイキングではなくアラカルト方式です。食欲旺盛な若者ならバイキングのほうがよいと思いますが、たとえば太平洋フェリーの夕食バイキングは2100円であり食の細い中高年にとってはアラカルトのほうがよいと思います。

(上左)朝カレーセット700円。(上右)長崎ちゃんぽん800円。(下左)はかた一番どり南蛮定食1200円。(下右)黒潮松花堂御膳1600円。ちなみに生ビール中ジョッキは570円です。どの料理も、とてもおいしかったです。

というわけで4日20時55分と定刻より10分遅れで横須賀フェリーターミナルに到着しました。帰りは大雨の影響で京急線のダイヤが乱れていましたが、24時前に無事帰宅、今回の旅は終わりました。

作者の地元の神奈川県でフェリー航路が開設されたことは大歓迎です。また乗船したいと思います。東京九州フェリーさん、頑張って長続きすることを祈念します。

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コメント: 1
  • #1

    SEA BIRD (水曜日, 07 7月 2021 10:41)

    気になっていた情報を有難うございます。食の件も含め、興味津々で拝読致しました。
    船の外観は居住区が前方にあるのと、煙突の大きさ(Sox規制対応?)から精悍なイメージです。地元港湾関係者と揉めていたので心配していましたが、無事就航できてよかったです。いずれ乗船するつもりですので、「頑張って長続き」して欲しいと思います。
    にしても、地元横須賀の対応や盛り上がりが今一つで残念です。中央駅からシャトルバスでも出して欲しいところです。