オリンピックボート

期待と不安を乗せて、東京オリンピックがはじまりました。作者はスポーツ音痴で競技のことや選手のことはよくわかりません。しかしオリンピックという言葉を聞くと、真っ先に「オリンピックボート」という単語をイメージします。オリンピックボートとは、出場する選手を開催国の港まで乗せていく客船またはオリンピック開催を機に新造される客船のことと理解しています。

東京は今度が3度目のオリンピックということをご存知ですか。実は81年前、昭和15年(1940年)に東京でオリンピックが開催されることが決まっていたのです。戦争のため実現しませんでしたが、この決定を受けて日本郵船は政府からの助成を得て9隻の客船(貨客船)を新造することにしました。昭和12年のことです。それは桑港航路用の橿原丸出雲丸、欧州航路用の新田丸、八幡丸、春日丸、シアトル航路用の三池丸、安芸丸、豪州航路用の阿波丸三島丸です。(赤字は客船として完成せず)

幻の橿原丸の模型
幻の橿原丸の模型

その中でも一番の注目は何といっても橿原丸、出雲丸です。もしこの両船が完成していたら、どれだけ素敵だったでしょうか。

また、昭和39年(1964年)のオリンピック開催が決定したときにも太平洋横断航路用の客船を建造しよう、という計画があったようですが、これも実現しませんでした。

今回の東京オリンピックでは客船の新造計画はありませんでした。選手はみな飛行機で来る時代、オリンピックボートという言葉自体がもう死語です。

今は飛鳥Ⅱ、にっぽん丸、ぱしふぃっくびいなすという3隻の素晴らしい客船を日本は持っていますが外航クルーズは中止され、また、オリンピックに合わせて、横浜や千葉の港にホテルシップとして海外からクルーズ客船が多数来航する予定でしたが全てなくなりました。そういう意味でも、作者は本当にコロナが憎いです。